2008年06月03日

流塩

 ばあちゃんの運転する車に乗っている。
 
「ばあちゃん運転できたっけ?」
「大丈夫。まかせとき」
ばあちゃんの運転は暴走気味。あたしはちょっと不安になった。じいちゃんの運転とどっこいどっこいじゃん。

 景色は若葉色で、どこまでも夏の匂い。窓の外ではきらきらと空気がはずむ音がする。
「あれ、駅に行くんじゃなかったの?」
車は駅へとつづく道から逸れて、海の方向に走っていく。ばあちゃんは何も言わず、アクセルを踏む右足に力を込める。
 
 急に視界が一面青色になって、気付けばあたしたちは海の中を走っていた。車一台分の幅しかない砂浜をばあちゃんの小さな車が全速力で駆けていく。右も左も波が打つ。

このとき、あたしは笑っていただろうか。ばあちゃんは笑っていただろうか?

 車が止まる。そこは一本道のような海岸の先っぽだった。目の前の海面には、白い流氷のようなかたまりがいくつも浮かんでいる。
「これ、塩で出来てるからね、乗っても溶けないよ」
ばあちゃんはそう言って、ひょいっとその塩のかたまりの一つに飛び乗った。あたしはあわててばあちゃんのあとに続こうとしたけれど、ばあちゃんの流塩はどんどん先に行ってしまって、あたしが乗れたのは、それよりだいぶ小さいかたまりだった。
 
「ばあちゃん待って」
ばあちゃんは遠くで笑っている。

「ばあちゃん、待ってよ」

 
 そこで目が覚めた。
posted by bonnie at 21:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 言葉遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
bonnieさんのファンです。 いつも楽しみにしてます。 ほんと、いい!
Posted by 瞬夏 at 2008年06月04日 00:38
わぁ、ありがとうございます!
瞬夏さんのブログも拝見させていただきました。淡々と綺麗な感じで羨ましいです。
Posted by bonnie at 2008年06月04日 13:04
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