2008年06月06日

電車でランデヴー

勇気は前髪のあたりでためる。
後悔はしっぽのなごりに押しやっておく。
目の前に座っているTシャツは伸びきって疲れたスパイダーマン。隣はポニーテールのつけまつげと買い物袋を抱えたおばさん。
今日の夢では予備校で一緒だったけどとうとう一度も喋らなかった彼に軽々と告白。なんだそれ、予行練習か。口の奥で呟く独り言が響く。
あぁ、今日の運勢が最高でありますように。今日くらいはくだらない冗談が出ませんように。
ところで次の駅まであと何分?

なんてことを、きっと隣の女の子は考えている。私はといえば今日の夕食について考えている。
今日はパパが早く帰ってくるから、今からだと簡単なものしか作れないわね。パスタかしら。パスタなら私はカルボナーラが食べたいけれど、タカシはクリームパスタが嫌いだった気がする。家族みんなが好きなのは・・・何かしら。パスタもいろいろあるわね。どうしよう。

なんてことを向かいに座っているおばさんは考えているんだろう。僕はといえば知り合って一年になる女の子について考えている。
彼女はいつも魅力的だ。最初は僕に気があるんだと思っていた。僕ははしゃいでメールを送った。何度か二人で会ったけど、彼女はいつも退屈そうだった。そしていつだって魅力的だった。
僕は彼女に恋をしているんだろうか。彼女はまだ僕に気があるんだろうか。彼女にまた会えるだろうか。だろうか。だろうか。

なんてことを考えて、隣の眼鏡はぐるぐるしているんだろう。あたしはといえばこの電車が早く次の駅に着いてくれることを願っている。そしてトイレに駆け込むことだけを考えている。
posted by bonnie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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